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地域通貨で間伐促進を目指す「山の宝でもう一杯プロジェクト」

津和野町 農林課

平成23年10月から12月において、津和野町では、間伐材(残地材)の出荷金額1トン当たり3干
円に地域通貨3千円を上乗せし、その地域通貨を町内で使用してもらおうという試み「山の宝でもう一杯プロジェクト」を実施しました。

今後は、この実験事業の有効性を実証し、将来的には高津川流域の市町村を巻き込んだ本格的事業展開を目指しています。

本町の面積の約90%が森林で、人工造林を行った民有林が約6,300ha存在しますが、長引く木材価格の低迷により、山は放置され、保育事業、特に間伐が実施されてきませんでした。

このため、間伐を実施しないことにより、次のような問題が発生しています。
(1)樹木の成長が阻害され根も張らす、風雪により倒壊しやすい。
(2)林内に曰光が当たらないことから、下層植生が緊茂せす、表土は流出しやすく、災害を引き起こしやすい。
(3)表土がむき出しとなることで、森林の持つ保水力を失い、水源のかん養機能が確保できなくなる。

それでは、間伐を実施した山林では、問題がすべて解決するかというと別の問題が発生します。
(1)切り捨て間伐が主流であり、枝も払われない針葉樹が無造作に放置され、林内を歩くことも困難で、景観的にも見苦しい。
(2)使える木材であっても、林家は採算ベースに乗らないため、放置する。
(3)下層植生が繁茂するまでの数年間は、表土の流出や崩壊の危険性が残る。
(4)間伐が遅れた森林は、健康を取り戻すまでの間(※樹冠長率が30%以上)は、風雪により倒壊しやすい。
(※樹冠長率=樹冠長÷樹高×100で算出され、樹冠長は木の枝葉のある部分の長さのこと)
(5)水流れに放置された残材(玉切り材)が、河川に流出し、2次災害を引起す危険性が高まる。

このような状況から、どのように民有林の間伐を進めていくのか林業関係者の長年の課題とされてきました。

平成22年3月、課員が岐阜県で開催された「木の駅プロジェクト報告会 in 恵那中野方」に参加し、これまでだれも思いつかなかった解決のためのアイディアが舞い込むことになりました。

この報告会は、高知県仁淀川町の「土佐の森・救援隊」が実施する成功事例「モリ(森)券事業」を手本に恵那市にアレンジして構築し「木の駅プロジェクト」と名づけられた事業の報告会でした。

余談ですが、平成23年度において、この取り組みは鳥取県智頭町、岐阜県大垣市、愛知県旭町など、全国の山間地域に広がっています。

本町も、平成23年1月に「土佐の森・救援隊」の中心人物であり、地域に根差した自伐林家的森業の復活で森林と山村の再生を図っておられる中嶋健造氏を招き、研修会を開催し、今年度は実験事業を開始することとなりました。

今回の「山の宝でもう一杯プロジェクト」実験事業の正式名称は、「津和野町林地残材搬出に伴う自伐林家等支援実験事業」と言いますが、いかにも行政的であり、覚え難いことから愛称を使用しています。

事業概要としては次のとおりです。
町に出荷登録した町民に限り対象とすることとし、今回は28人が登録されました。
今回、登録制度にしましたのは、間伐や運搬作業等においての事故防止のために事前に講習会を開催し、作業上の安全教育を徹底したいとの思いもありました。

森林所有者は、自らが間伐した木材や森林組合等が間伐した林地残材を軽トラック等に乗せ、指定のチップ業者に持ち込み、業者は材積重量に対して出荷金額に地域通貨「こだま商品券」を上乗せし、支払います。

商品券の上乗せは、自伐林家のやる気を呼び起こし、自伐林家自らの手で放置された民有人工林の間伐を進めるための「呼び水」の意昧合いであり、今回は町が全額負担します。

商品券の発行、取りまとめは、商工会が担当し、登録した商店等で利用していただき、地域内経済の活性化を目指します。

現在最終集計中ですが、町内林家から240tの木材が出荷されると見込まれ、72万円分の商品券が町内を流通することになります。

商品券は、町が商工会に委託して発行し、現在使用できる商店は51店舗となっており、商店、コンビニ、スーパー、ガソリンスタンド、旅館などや町内商店間の支払いにも使用でき、登録者の評判は上々です。

これに自信を深め、「課題を解決し、来年度からは本格的実施のための体制を構築、流域での取り組みとなるようにしたい。」と担当者は意気込んでいます。

今後の課題としては、高知県仁淀川流域等の先進地が継続的な制度の構築を行っており、本町においても、今後は行政主導からNPO法人、林業団体等の主体的な取り組みにする必要があります。

また、高齢化率の高い本町においては、林家自らが間伐を行うことが困難な方も多く、森林組合等が国県の補助事業を活用し、委託間伐を実施することや林地残材を搬出するための高密度の作業路等も必要となってきます。

これらの課題を解決し、制度を定着させることが、森林を再生し、地域経済の活性化に貢猷することに繋がることになります。

本事業で林地残材を搬出した山林は、見違えるほど美しい景観になります。
適期に間伐を実施し、健康な、災害に強い山林を作るために、林家の立場に立った制度を構築し、山林を宝にするために、今後も努力しなければならないと思っています。

そのための、第一歩となる取組みが津和野町で始まり、今回、県下の林業関係者に紹介させていただきました。

 

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